紫外線(UV)単位・用語

 
 

紫外線(UV) 用語・単位

このページでは紫外線を技術使用する際によく使う用語・単位を説明しています。

<1:紫外線で使う単位の説明>

nm(ナノメートル)
可視光線波長から電波まで『波のひとつの長さ』を表す際の単位のひとつ
>>参考1「波長と周波数
n(ナノ)は『1.000.000.000分の1(=10億分の1)』の意味。
光線の波長にはnmを使い、例えばオゾン生成には主に185nm、殺菌には254nm、
UV樹脂やUV塗料の硬化乾燥には365nmの波長が主に使われます。


μ(マイクロ) 1,000,000分の1 例>>1μW=百万分の1W

m(ミリ)
    1000分の1 例>>1mW=千分の1W

k(キロ)
   1000倍  例>>1kW=1000W >>1kWは1mWの百万倍(1000x1000)


mW/cu  
「UV照度」の単位。「UV強度」と表現される場合もある。
ミリワット・パー・平方センチメートル」と読みます。
UV照射機の選定において、非常に重要なポイントとなる単位。

この「UV照度」に、「時間(単位=秒)」を掛け算して、
UVの照射量(UV露光量=積算光量)を計算します。

式にすると>> UV露光量(積算光量 単位:mJ/cu )=UV照度(単位:mW/cu)x 照射時間(単位:秒)


mJ/cu  
UV照射での積算照射量(積算光量)を示す単位のひとつ。
Jはジュールと読み、
mJ(ミリジュール)は千分の1ジュール。
「UV照度」に「時間(単位=秒)」を掛算して、「積算光量(UV露光量)」を計算します。

計算式は >> 積算光量(単位:mJ/cu)=UV照度(単位:mW/cu)x 照射時間(単位:秒)
mJ/cuの読み方は「ミリ・ジュール・パー・平方センチメートル」
最後をセンチメートル・スクエア(CSとも表示)と言う場合も。

μw・sec/cu
「光の強さx秒数」を表す単位の一つ。(μWの説明は下段「UVの単位」参照)
紫外線殺菌では、どれだけの量(=光の強さx秒数)の紫外線を当てれば
菌が不活性化するかが細菌・ウイルス・カビとも一覧表化(参考:紫外線殺菌の対象
されており、90〜99.9%殺菌に必要な紫外線照射量などを示す際に使用されます。
そして例えば 5000μw・sec/cuは、50μw/cux100秒 でも 10μw/cux500秒 でもよく
掛け算してμw・sec/cuで示された数値に達すれば殺菌されることになります。



UVの単位 
1W/m2 =1000mW/100x100cm2 =0.1mW/cm2 =0.1x1000μW/cm2=100μW/cm2
整理すると 1mW/cm2 =1000μW/cm2=10W/m2
 
         

W/u
 

UV照度の単位。環境測定(太陽光などのUV照度)でよく使われます。
前項の通分計算のように、mW/cuに比べて、10W/u=1mW/cuと、
分数の分子が1ケタ大きく表示されます。
W/uを使用しているUV照射装置は、太陽光などの領域か、趣味的なネイル乾燥などの
装置であることが多いので 「波長(何nmか)」に注意。

μW/cu  
UV照度の単位。「マイクロワット・パー・平方センチメートル」と読み、
「μW=ミリワットの千分の1単位」になります。
UV殺菌などでは、UV硬化よりはるかに微弱な照射光で殺菌が行われるので、
μW単位の表示がよく使われます。




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<2:紫外線の説明で、よく使われる用語>


UV-A, UV-B, UV-C 波長の区分/紫外線の範囲

UV-A(400nm〜315nm)  
UV-B(315nm〜280nm)
UV-C(280nm〜200nm)

一般的には紫外線とは「近紫外線(きん しがいせん)」と呼ばれる 200nmから380nmを指しますが、
可視光と紫外線の境界・範囲には各論があります。
JIS規格(日本産業規格)ではZ8120他で可視光線の下限はおよそ360nmから400nmとされていますが、
環境省基準では315nm〜400nmまでをUV-Aとしています。

UV強度/紫外線強度:
 
光源から出ているUVの強さ。UV照度と同義*。
ある面積に、どれだけの強さの紫外線が照射されているかを示します。

光源からの距離によって数字は変わるので、普通はUV強度と測定距離を併記します。
例:100mW/cm2 at100mm
ランプ装置の場合、反射ミラーが拡散タイプか集光タイプかによっても数値が違ってきます。
(*配光特性を参照)
実用的な距離でのUV強度のみを表示して、距離の表示は省略する場合もあります。

*UV強度を「UV照度」と呼び替えたり、「光量(こうりょう)」と示す場合もあります。
UV強度を測る計測器は、表示単位はルクスでなくmW/cuやμW/cuですが
「UV照度計」や「UV光量計」と呼ばれています。
        
積算光量:  
「UV強度x秒数」あるいは「X秒間に照射された光の総量」を指します。
単位は仕事量を表すJ(ジュール)を使います。

mj/cm2という表記の場合は、「1平方センチにつき、何ミリジュール(1mj=1/1000j)の積算光量か」
を示しています。
UVによる変化(硬化・分解・結合など)に必要な照射量や、コンベア装置で搬送するワークが
ランプから受ける光の総量を示す際や、それらの再現時(照射条件決め・照射条件の目安指定)
などに使われるため、使用頻度の高い用語です。
例:100mW/cm2 x 10秒=1000mj/cm2 併せて照射距離、波長、ランプの種類、積算照度計の機種名を
併記する事も多いです。

配光特性:  
「どれくらいのUV強度が、どれくらいの範囲に行き渡っているか」を示すもので、
主にグラフにして表示します。

ランプの長さに並行の方向、ランプと垂直方向の、2つのグラフで表示するのが一般的です。

反射ミラーが集光タイプだと並行方向の光が強く、垂直方向の幅がない帯状の光になりますが、
照射距離を離すと拡散して、拡散ミラーのように均等な光が行き渡るようになります。

拡散タイプの反射ミラーにすれば、UV強度のピークは集光ミラーより弱くなりますが、
並行・垂直方向ともに均等に近い光を照射できます。
         
分光分布:
UVランプから何nmの波長の光線が、どれくらいの量(エネルギー)出ているかを、
主に%で表示したグラフが「分光分布グラフ」です。

発光長:
光源部(ランプ)の光る部分の長さ寸法。ミリ・メートルまたはセンチ・メートルで表現されます。
例:ハンディUV装置(1kW)は120mm、小型ハンディUV装置(100W)は30mm

単位長W(たんいちょうワット):
発光長(ランプの光る部分の長さ)1単位(主にcm)あたりのワット数。
例として、標準的な1kWランプでは80W/cm x発光長12cm、 2kWでは80W/cm x 25cm
上記の「W/cm」が「単位長W 」で、80W/cm ・発光長25cmのランプは 80(W)x25(cm)=2kWランプ

励起(れいき):
(化学反応を起こすための)エネルギーが高い状態。
最も低い状態を基底(きてい)と呼びます。

重合:     
かたまりになること。
1種類以上の単位物質の分子が、二つ以上化学的に結合して、
より分子の大きい化合物をつくること。また重合体(ポリマー)を合成することを目的にした化学反応は
重合反応と呼びます。連鎖がイオンで起きるものはイオン重合と呼ばれ、イオン重合でのびる連鎖の末端が、
電子のやりとりによる陽イオンならカチオン重合、陰イオンならアニオン重合と呼びます。
また連鎖がイオンで伸びるのではなく、ラジカルが要因であればラジカル重合と呼びます。

光重合
光によって起きる重合反応。光源には365nmを主軸にしたUVランプの採用が多い。
印刷(写真)製版、インキ、塗料から、歯科治療、化学反応光情報記録、さらに先進開発でも
応用研究がすすめられています。

UV硬化樹脂には、光のエネルギーで低分子や重合開始剤の原子結合が切れ、
発生したラジカル(基)を中心に分子の結合が伸びていくラジカル重合型と、
陽イオン(電子)が反応の中心となるカチオン重合型があります。
従来製品の多数を占めるラジカル型では酸素による表面硬化阻害の問題が起こる場合もあるので、
副素材などに工夫をして改良をしたものもあります。
カチオン型は酸素阻害が無く、また硬化時の収縮も少ないので密着性も向上する場合が多い。

UV硬化・紫外線硬化
    
UV樹脂・V塗装等に紫外線を照射して硬化させること。原理をひとことでいうと
光にはエネルギーがあり紫外線の強いエネルギーにより、UV樹脂の主要な分子(ポリマー、モノマー)が
結びつき硬化する。
必要な紫外線の量は自然光に含まれている分量では少なすぎてUV硬化の特性である「スピード硬化」
ができないので、実務にはUV硬化装置(UV照射装置)を使います。

UV硬化樹脂  
強い紫外線を照射すると、秒速で乾燥・硬化する樹脂。
塗料はUV硬化樹脂の応用製品でUV硬化塗料と呼びますが
それぞれ「硬化」を省略してUV樹脂・UV塗料と呼ばれることもあります。

UV硬化樹脂は、以下の成分を主体としています。

ポリマー:複数のモノマーが重合してできた化合物で、UV硬化樹脂の主成分。樹脂の芯になります。
モノマー:UV硬化樹脂の基本構成物で単体では希釈剤の役割で、ポリマーに結合すると鎖状の硬化物になります。
オリゴマー:モノマーの重合体でプレポリマーともいい、ウレタンアクリレートなどがあります。
光重合開始剤:紫外線を照射してポリマーとモノマーを結びつけて硬化させる、きっかけになります
上記の他に「泡を消す素材」や「静電気を抑える素材」などが含まれます。

*UV樹脂・UV塗料は副素材も含まれた結果、特定の紫外線波長/波長域が硬化に必要なことがあり、
そのような塗料・樹脂にもメタハラUVランプを使います。(親切なメーカーはUV樹脂・UV塗料に硬化波長や
硬化に適したUVランプの種類を記述した説明書を添付しているので、UV照射装置選択の際に必ず参照。)

UV乾燥:   
UV硬化と同義。UVで硬化する樹脂等がUV照射により硬化状態(乾いた状態)になること。

UVによる硬化は、通常の塗料などで水や溶剤が蒸発・乾燥して固くなるのとは違い、分子の結合によって
固まるが、大多数のUV塗料は塗り拡げやすくするために水や溶剤を加えてあるため「乾燥」という表現が
実態に近いことが多い。また印刷では、インキは「乾かす」もので「固める」概念はあてはまらない。
*それらを踏まえて弊社では「速乾機能付き」のUV硬化(UV乾燥)装置もご用意しています。
なお「UV塗料は乾燥ではなく硬化」と書いてあれば、実際に作業や現場を知らない人が書いている文章の
可能性大。他の内容も信用すると「原因の判らない不都合や失敗(白濁等)」が現場で生じることがある。


メタル・ハライドUVランプ 
*UV硬化では、塗膜の厚みやUV硬化樹脂の色(カラー成分等)によっては、硬化に可視光波長なども
必要な場合があります。その場合には 365nm以外の光を 出すように、水銀とハロゲン化金属(メタルハライド)を
ランプの中に入れて波長を分散(=連続した波長に)させたUVランプを使用します。

このようなランプは「メタル・ハライド・UVランプ」と呼ばれ、@365nm以外のUV波長に反応する素材や、
A色のついた素材(=素材の色によって紫外線の吸収波長は異なる)、B内部浸透性の必要な素材、
C総合的にエネルギー(UV照度)が必要な場合など、365nmを主波長とする高圧水銀UVランプでは
カバーできないケースにも対応できる長所があります。 「透明樹脂・塗料の硬化乾燥=365nmランプ/
幅広いUV波長が必要=メタル・ハライドUV(通称メタハラ)」と、用途で使い分けるとスムーズです。

なおメタハラ・ランプは中に何を封入するかで波長域が変わり、またガラス材質などの関係で
UV波長の出ていない照明用ランプにもメタハラ・ランプが存在するので、ランプの波長を確認する
必要があります。
            


            

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<参考1> :UV/紫外線とは

紫外線(UV)は 可視光(約380nm紫色〜780nm赤色)より波長が短い光線で、人の目には見えません*。
紫外線ランプの青白く見える光は『可視光』で、そこに『目に見えない紫外線』 が混ざっています。

*目に見える光の範囲は生物の必要性(例:蛇は暗闇でも赤外線で獲物を検知できる、昆虫は紫外線に集まる等)で
異なるだけで、紫外線・可視光・電波、 いずれも波長域は違いますが「電磁波」です。
(現代科学では「電磁波の一種が光として、人の目で見ることができる」 と定義されています。)

電磁波は波長が短いほど、一定の長さの中で活発に振幅します。   >>参考:次項「波長と周波数」
この「波長が短い光(活発に動く=強いエネルギーをもつ光)」の代表格が紫外線で、
紫外線の作用・効果を利用するための装置が紫外線照射装置/UV照射装置です。


<参考2> :波長と周波数

周波数:1秒間の周期の数(振幅回数)。 単位はHz(ヘルツ)1Hz≒30万 km*
波長:波の1周期の長さ。 単位はnm(ナノ・メートル) 1nm=1/10億 m

*送電線などから発生する電磁波は、1秒間に西日本では60回振幅(=周波数60ヘルツ)、
東日本では50回振幅(=周波数50ヘルツ)しながら進み、 電磁波は光と同じで1秒間に
約30万km進むので、例えば周波数60ヘルツの電磁波の「波長」は
約5,000km(30万km÷60回=5,000km)でアメリカ大陸を横断する以上の長さになります。

紫外線の波長(nm)を周波数に置き換えるには、周波数 =波の進む速度(m/s) ÷ 波長(m)
例えば365nm波長の紫外線は 光の速度(光の波1つ分の速度) ≒ 299,792,458(m/s) から計算して
299,792,458÷0.000000365 ≒821,349,000,000,000≒821THz になります(が使う機会のない知識です)。
  
・T(テラ)=基礎となる単位の一兆倍=10の12乗倍



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<参考3> :UV照射/紫外線照射の英語表現

「紫外線照射 英語」とネット検索するとトップにUV(ultraviolet) irradiation と表示されますが要注意です。      
照射とは「光で照らすこと」で、英語では irradiation。 「照らさない」放射 にはradiationが使われます。
紫外線は目に見えないので厳密には「照らす」ことはできません。そのため紫外線を当てることを日本でも
学術や技術の専門用語では「紫外放射」と呼びます。
また英語でもirradiation(照射)ではなく、radiation(放射)を使ってUV照射*を ultraviolet radiationと呼び、
紫外線照射*装置/UV照射*装置は ultraviolet radiation device と呼び ます。

*UV照射/ 紫外線照射という言葉が日本国内全般に普及しており、「紫外放射」は逆に日常語として通じないので、
紫外放射装置ではなく 「紫外線照射/紫外線照射装置」という表記を弊社含めた紫外線(UV)装置メーカーも
使用しています。本来は「放射」と言うところを「照射」としているため、英訳すれば当然、irradiationになります。
しかしUV=照射という概念や用語は日本では浸透していますが、それを英語直訳すると、英語圏の国では
血痕やDNAの検視、殺菌で使用されることはあります(=実際に紫外線で「照らされて」結果等が見える)が、
他の専門分野では間違いとされることもあるので、「紫外線放射」の英訳: UV radiation を使用するのが無難です。

なお、実際に英語を使う現場で紫外線灯はultraviolet lamp またはUV Lampで通じています。


<参考4> :Deep UVA (ディープ紫外線)

富士フイルムによる新造語と思われ、370〜400nmのUV波長を指しています。
これは紫外線の専門用語のひとつであるDeep Ultraviolet(遠紫外線≒200nm)と言葉が似ていますが、
「UV=浴びたくない」一般生活者と、「UV=浴びせたい」UV技術者は棲み分けされているので、
新語が専門用語と混同されるリスクは極めて少ない。
「長波長紫外線(UV-A)の中でも、最も長い370〜400nmの波長が肌に深く浸透する」という
特徴を一般の人に伝えるために、効果的キーワードとしてDEEPを採用したのだと思われます。


<参考5>「積層型静電アクチュエータ用電極リボンの作成法」
東工大/鈴鹿高専(UV照射にハンディUV照射装置をご採用いただきました研究論文)



*その他の紫外線技術情報は キーワードダイジェスト/(UV照射技術)インデックス からご検索ください。




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