<1>オゾンの化学的特徴
酸素は 酸素原子2個が結び付いた、安定した状態で空気中に存在しています。
大気には21%の酸素、78%の窒素、1%の二酸化炭素が含まれており、その比率が
がらりと変わることは通常環境では無いように、酸素分子は「安定した状態」のものです。
オゾンは 酸素原子3個が結び付いた気体で、酸素分子(酸素原子2個)に不安定な酸素原子1個が
結びついています。この不安定な酸素原子1個が 他の分子に結び付くと、有機物の場合は
二酸化炭素と水に酸化分解されます。このオゾンの酸化力はフッ素に次ぐ強いものでありながら
残留性はないので、医療・食品製造・半導体製造などで、殺菌や洗浄(≒酸化分解)に
幅広く活用されています。殺菌の場合、細菌の細胞膜をオゾンが破壊してしまうので細菌は乾燥死します。
<2>オゾン水とは
オゾンを水に溶かしたものがオゾン水で、オゾンは水に溶かしても大気下と同じ働き(反応)をします。
オゾンの、水への溶解度は酸素の 10 倍と高く、殺菌力は水中では塩素の 7 倍とされています。
殺菌・ウイルス不活化効果は酸化力に比例して、オゾン水>二酸化塩素>次亜塩素酸>次亜塩素酸イオン
という効果順になり、オゾン水はインフルエンザウイルスなら接触時間5秒(1mg/L)で100%不活性化できます*。
(*(厚生労働省予防衛生研究所データより)
食品の薬剤殺菌で使用される次亜塩素酸ナトリウムと適用濃度を比較すると
オゾン水は、より低濃度で効果を存分に発揮します。また次亜塩素酸ナトリウムの場合は、
有機物と化合すると残留副産物を生成します。その中には発がん性が指摘されている環境ホルモンや
トリハロメタンも含まれています。それらは分解が難しいため残留しますが、オゾン水には残留物が発生しません。
(1)オゾン水(約1ppm濃度時)による殺菌例
大腸菌>>5秒で100%死亡
ブドウ球菌>>5秒で100%死亡
一般ウイルス>>5秒で100%不活化
(2)オゾン水(約0.5ppm濃度時)による、微生物の不活性化の例
カビ>>約20秒で99.9%死亡
酵母>>約90秒で99.9%死亡
以下は、0.58ppm濃度での実験結果(溶液1ml、大腸菌・ブドウ球菌:10x5乗個、カビ・酵母:10x6乗個)です。
<3>オゾン水生成器 -オゾン水を作る方法-
オゾン水の生成には、大別して以下3つの方法がありますが、まず大きな前提があります。
前提1:吹き込む気体が無声放電で作られた、「オゾンの混じった雑気体」であった場合
前提2:水中の溶存気体を電解する場合は酸素以外も電解されてしまう
上記の前提条件下では、オゾン水ではなく「オゾン水と窒素酸化物等残留液の混合水」ができます。
多くの人がオゾン水と信じ込んでいますが、簡便な装置では注意が必要です。
また、オゾン水濃度を測る場合は、化学発光法・吸光光度法いずれも、測定対象を
[オゾン]と[窒素酸化物]で、切り替えて計測できる測定器をお選びください。
1. オゾンを水に吹き込んで気泡にして溶かして、オゾン水にする
簡単な方法ですが、オゾンが水に吹き込まれた際に出来る気泡が水面に上昇してくるまでは
わずかな時間でしかなく、水と接触する気泡表面のオゾンしか溶け込まないため、水に吹き込まれた
オゾンの大半が空気中に捨てられることになります。
2. オゾンに圧力をかけて水に溶かして、オゾン水を生成する
ヘンリーの法則により「温度が一定の時、気体の溶解度はその気体の圧力に比例する」ので、
エジェクター(真空ポンプ)を使い、エジェクター内でオゾンと水を加圧混合させることで、
高濃度なオゾン水を大量に生成することができます。
3. 水中の溶存酸素を電気で分解してオゾン水を生成する
電解する接点を水中に入れて、オゾンが生成されるのを待ちます。
オゾン水のオゾン濃度は、水の中の溶存酸素量が限られている(酸素は水に溶けにくい)ため
上げることができませんが、家庭で使う少量のオゾン水には適します。 電解では酸素以外も
分解されますので、うがい等の際は飲み込まないように注意するほうが無難です。