紫外線殺菌 紫外線殺菌装置の知識


 紫外線殺菌 l 紫外線殺菌装置の知識・技術(概論)

紫外線照射装置 UV照射装置 のマリオネットワーク



   紫外線の殺菌力は、菌やウイルスがもたらす症状の重さと関係なく「菌・ウイルスの、物質としての構造(外皮が厚いなど)」 で決まり、
   
病原性の強いものほど紫外線に弱いケースが多くみられます。
   例えばインフルエンザウイルス・赤痢菌・チフス菌は、大腸菌の殺菌に必要な紫外線量より少ない紫外線量で殺菌できます。

   紫外線殺菌に必要な紫外線の量(紫外線の量x秒数の積)は、菌ごとに一覧表化されています
   そのため紫外線殺菌は、紫外線殺菌装置(紫外線ランプ)からの紫外線量をもとに照射秒数を割り出して、合理的に行えます。

 

  テーマ (リンク有り)                説明(下線はダイジェスト説明)

殺菌線 波長と装置

紫外線波長とランプ/装置(流水殺菌 空気・表面殺菌 コンベア付装置)

紫外線殺菌の原理

残留性がなく、合理的な殺菌方法である理由

紫外線殺菌の長所と短所

紫外線殺菌の有効範囲

紫外線殺菌の考え方

紫外線殺菌の合理的導入のための考え方

紫外線殺菌の対象菌と、殺菌に必要な紫外線量

紫外線殺菌の歴史的実績

紫外線照射装置カタログ

紫外線殺菌装置・オゾン殺菌装置 カタログページ

 

 

 

 


 

 






    [適用分野]
     ●衛生管理、食品材料、化学材料、医療材料、精密品、養殖、印刷 等
     ●空気殺菌、表面殺菌、水殺菌(流水殺菌・貯水殺菌) 


   新型コロナウイルス感染予防対策/不活化装置についてこちら をご参照ください。(特設ページ)



  1.紫外線殺菌に使う「紫外線波長」と「ランプ/装置の種類

   
   
紫外線は 可視光(紫色:約380nm*〜赤色:780nm)より波長が短い光線で、
   人の目には見えません。紫外線ランプの青白く見える光は『可視光』で、
   そこに『目に見えない紫外線』 が混ざっています。

   「目に見える光の範囲」は生物の必要性で異なるだけで、紫外線・可視光・電波、
   いずれも波長域は違いますが「電磁波」です。

   (現代科学では「電磁波の一種が光として、人の目で見ることができる」 と定義されています。)

   電磁波は波長が短いほど、一定の長さの中で活発に振幅します。 
   紫外線には「波長が短い=活発に動く=強いエネルギーをもつ」という特徴があり、
   紫外線のエネルギーは 多くの有機化合物の結合力(エネルギー)より強いため、
   細胞膜を壊して殺菌する、生物のDNAを損傷/修復する、など 環境にダメージを与えない
   殺菌法となる紫外線が活用されています。


   紫外線は、紫外線ランプごとに発生する紫外線波長が違い、また波長によって用途が分かれます。
   紫外線殺菌には、菌の細胞膜やウイルスのDNAに吸収されやすいUV-C域の波長が適しており、
   中でも、殺菌力が高い254nm(ナノ・メートル)の波長を出す「低圧水銀UVランプ」が主に使用されます。
   紫外線と同時にオゾンガスで殺菌をする場合は、254nmに加えて185nmの波長も同時に出せる
   「オゾン・ランプ」を使います。

   紫外線殺菌装置の形状には、以下のような種類があります。 (写真のクリックで各殺菌装置の説明ページへ)

コンベア式紫外線殺菌装置   紫外線殺菌装置紫外線殺菌灯  紫外線殺菌 ユニット   卓上型紫外線殺菌装置    ハンディ紫外線殺菌装置    紫外線オゾン殺菌ランプ装置  紫外線殺菌装置 流水用   貯水紫外線殺菌装置
コンベア式   UVレイヤー  ユニットタイプ   卓上ボックス型   ハンディタイプ  ライトタイプ  流水殺菌  貯水殺菌

  



  2.紫外線殺菌の原理


   
紫外線による殺菌の原理は、水中でも空気中でも基本は変わりません。

   対象を「ウイルスと細菌」に分けると、細菌は細胞を持ち、ウイルスは細胞を持ちません。
   細菌は細胞分裂で増殖し、ウイルスは感染した相手の「情報」を自分の情報に書き換えます。
   紫外線による殺菌は、それら対象が菌の場合は「細菌の細胞膜を破壊して、体液を流出(〜乾燥)させて殺す」
   ウイルスの場合は、「ウイルスの持っているDNAやRNAといった遺伝子情報を分解して増殖を防ぐ」ことによって行われます。

   また紫外線殺菌に必要な紫外線の量(紫外線の量x秒数の積)は、菌ごとに一覧表化(下段5に掲載)されています。
   そのため紫外線ランプからの紫外線量をもとに照射秒数を割り出して、合理的に紫外線殺菌は行えます。



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  3.紫外線殺菌の長所と短所


   
長 所
   1. 菌に耐抗性*を作らない
   2. 対象物にほとんど変化を与えない
   3. 管理が容易で、自動運転に適する
   4. 処理時間が短い
   5. 残留しない

   *耐抗性=薬品は繰り返し使用するうちに、薬に負けない菌ができる場合があります。


   短 所
   1. 残留効果がない
   2. 対象が表面に限られる
   3. 光をさえぎるものがあると効果がない



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  4.紫外線殺菌の考え方


  - 殺菌について -

   殺菌とは「菌を全滅させること」のように思い込みがちですが、実際の対策では
   「菌を減らす方法」と「菌を増やさない方法」の、2つの組み合わせと考えるほうが具体的です。

   また「瞬間的・短期間で実施すべき殺菌」と、「長期の間に、菌数が抑制されればよい項目」があるため、
   対応は分けて考えるのが合理的で、紫外線・オゾンともに、「菌を減らす/増やさない」 「長期/短期」
   この いずれの対策にも利用できます。

   細菌や微生物の増殖には、栄養・水分・酸素分圧(その場に含まれる酸素比)・温度が関係します。
   例えば大腸菌は快適環境では20分で2個に分裂しますが、条件がそろわないと増殖速度が落ちます。

   この増殖条件は、悪い条件が他の優れた条件の足を引張り、劣ったほうに足並みが揃います。
   (=パスツール効果*の逆応用)

   身近な例として冷蔵庫は、前述の「菌を増やさない方法」「長期に菌数を抑制する方法」の具体化のため、
   菌の増殖条件のひとつである「温度」を操作することで、「パスツール効果の逆応用」を行っています。


   *パスツール効果
   パスツールは、発酵(=糖の分解)に関して、
   『酸素があると微生物はさかんに繁殖するがアルコール生成は進まず、酸素が遮断されると微生物は
   増殖せずアルコール生成が増える』ことを発見しています。(パスツール効果)
   これは生化学U等では「好気性条件下での発酵速度は嫌気性条件下より遅い」という言い方で表されます。
   (=「酸素があると発酵が進まず、酸素がないと発酵が進む」とも意訳) このことから酵素の働きや微生物学的
   観点に論は発展していきますが、上記の「増殖条件」のようなアプローチ概念の素地にも応用されています。






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  5.紫外線殺菌の対象:「一般菌」と「大腸菌」


   
紫外線殺菌の対象に「一般菌」と呼ばれるものがあり、簡単に定義すると「そこに居る菌」になります。
   従って一般菌の種類は場所によって異なります。

   また「大腸菌」は、本来、生物の体内に居るもので、それが体の外で発見されるのは、
   衛生管理ができていないことの分かりやすい証拠とも なるため 指標菌として採用されています。

   紫外線殺菌装置では、「大腸菌を対象とした際の殺菌能力」と「一般菌を対象とした際の殺菌能力」の
   2種類の性能目安を掲げることが多く、一般細菌の代表として殺菌性能上のターゲットにすることが
   多いのは「カビ胞子」の代表例となる「枯草菌芽胞(こそうきんがほう)」です。


   紫外線の殺菌力は菌やウイルスがもたらす症状の重さと関係なく「菌・ウイルスの、物質としての構造
   (外皮が厚いなど)」で決まり、むしろ病原性の強いものほど紫外線に弱いケースが多くみられます。

   例としてインフルエンザウイルス・赤痢菌・チフス菌は大腸菌の殺菌時より少ない紫外線量で殺菌できます。
   

  <参考:99.9%殺菌に必要な紫外線量(μw・sec/cu)>

  単位となる「μw・sec/cu」の計算方法は、
  紫外線照射強度(μw/cu)X紫外線照射秒数(SEC)です。

   
   


   
 <グラム菌>
    変形菌
    赤痢菌(志賀菌)
    赤痢菌(駒込 BV )
    チフス菌
    大腸菌
    レジオネラ菌(90%)
    枯草菌
    枯草菌(芽胞)

    白色ブドウ球菌
    黄色ブドウ球菌
    <ビールス(ウィルス)>
    タバコモザイクウイルス
    インフルエンザウイルス
    
<カビ類>
    黒色胞子(全食品)
    緑色胞子(チーズ)
    黄緑色胞子(乾物)
    青緑色胞子(穀物)
    白色胞子(乳製品)
    灰色胞子(肉)
    黒色胞子(果物・野菜)



3,780
4,260
4,320
  4,440
5,400
1,000
21,600
33,200
9,060
9,300

440,00
3,400

396,000
39,00
180,000
132,000
15,000
51,000
 333,000

 

   
  

 

 

 

 

 

 











  
 出典(社)照明学会誌:第36巻 第3号
   論文:『殺菌灯による水の消毒』河端俊治、原田常雄
   金子光子:講座・消毒(28)



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  6.紫外線殺菌の歴史と現在


   紫外線の殺菌作用は20世紀初頭(1901年)には確認されており、1936年には紫外線殺菌ランプをGE社が開発しました。
   日本では1950年代に厚生省が理髪店で紫外線消毒器の設備を義務づけたのをきっかけに一般に知れ渡りました。

   ただ当時は殺菌線の出力が弱く、殺菌に照射時間が長く必要だったため普及は限られていましたが、現在では
   高出力・高性能な紫外線殺菌ランプが出現し、紫外線による殺菌は食品・医療他、様々な分野で利用されています。

   また最近は、薬品等による薬害や環境汚染が問題となっていることや、微生物検査技術の進歩により厚生省が
   紫外線殺菌の有効性を公認するジャンルを拡大させたこともあり、紫外線による残留物や環境ダメージのない
   クリーン殺菌が注目されています。

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