大気中で低圧水銀ランプをPBTとPPSに照射時間を変えて照射すると、 露光量の増加に従って、初めは急激に、後は緩やかに「ぬれ指数」が増加します。 このUV照射したPPSとPBTを二液エポキシ系接着剤で接着した時の強度と照射量の関係を 見ると、接着強度もねれ指数と同様に露光量の増加に伴ない強くなります。 しかし接着強度はある露光量のところでピークを迎え、それを越えると低下します。 これはデータの誤りではなく、接着には接着剤が被着体によく濡れる事が必要であり、 接着剤にも固有の表面張力があって、被着体と接着剤の表面張力が等しい時(=正しくは 極性成分と非極性成分が等しく界面張力がゼロになる時)、最大の接着力が得られることを 示しています。 UVとオゾンを併用した接着力改質の効果は万能ではなく、素材によって大きな違いがあります。 フッ素樹脂やポリアセタールには効果がなく、多くのエンジニアリング・プラスチックには効果があります。 金属のアルミ、ステンレスにも効果があり、プラスチックに比べ数は少ないですが実用化されています。 また十分な改質が得られない素材も光増感剤を併用すると改質が高まります。 例えばポリプロピレンはUVだけではほとんど効果がありませんが、有機塩素系溶剤をPPに含浸させ、 その上からUV照射すると著しく接着力が向上します。(現状では有機塩素系溶剤の使用は禁止) そのため最近はこの有機塩素系溶剤に代わる色々な光増感剤が研究されています。 その中に、光増感剤の存在下で254nmを中心とするUVを液晶ポリマーに照射して、重合性ビニルモノマーを グラフト重合させ、フレキシブル多層プリント回路基板の優れた液晶ポリマーフィルムを開発した例があります。 UV表面改質技術はハイテク製品だけでなく、一般の工業製品の生産にも役に立っており、 その一例にプラスチック製観賞用水槽のUVオゾン接着前処理装置などがあります。 こうした装置はプライマー塗装をなくし、作業環境の改善と量産化促進に寄与します。
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